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豚熱ウイルスの抗体検出用簡易キットを日韓共同で開発~豚熱のマーカーワクチン使用時における野外ウイルスの流行を把握することに貢献~(獣医学研究院 教授 迫田義博)

2024年4月30日

ポイント

●豚熱ウイルスの二つの糖タンパク質に対する抗体を一度に検出する簡易キットの開発に成功。
●豚の血液から、高額な機器を使うことなく肉眼で、豚熱ウイルスの抗体を15分で検出可能。
●豚熱のマーカーワクチン接種豚と野外ウイルスの感染を識別する技術として期待。

概要

北海道大学大学院獣医学研究院の迫田義博教授らの研究グループは、豚熱ウイルスの感染やワクチン接種時に産生される抗体を識別する簡易キット(免疫クロマトグラフィーテストストリップ)を韓国のバイオアプリケーションズ社と共同開発しました。

この簡易キットには、植物(ベンサミアナタバコ)中で人工合成した豚熱ウイルスのE2蛋白質とErns蛋白質が使用されており、豚の体内で産生されたE2蛋白質とErns蛋白質に対する抗体をそれぞれ肉眼で検出することに成功しました。開発された抗体検出簡易キットに豚熱野外ウイルスに感染した豚、及び従来型の豚熱ワクチンを接種した豚の血液を滴下したところ、E2Ernsの両方の蛋白質に対する抗体が検出されました。一方、韓国で開発された豚熱ウイルスのE2蛋白質のみからなる豚熱マーカーワクチンまたはErnsを他のウイルスのErnsに置き換えた豚熱ウイルスを接種したブタの血液をそれぞれ抗体検出簡易キットに滴下したところ、E2に対する抗体は検出されましたがErnsに対する抗体は検出されませんでした。

以上の結果から、野外ウイルスの感染や従来型の豚熱ワクチンの接種により産生される抗体と、豚熱マーカーワクチン及びErnsを他のウイルスのErnsに置き換えた豚熱ウイルスを接種した豚の体内で産生される抗体の質的な差を簡易キットにより迅速に検出できることが分かりました。今回開発した抗体検出簡易キットは、将来マーカーワクチンの国内での導入時に有効な検査ツールとして活用されることが期待されます。

なお、本研究成果は、2024411日(木)公開のFrontiers in Microbiology誌に掲載されました。

論文名:Development of a dual immunochromatographic test strip to detect E2 and Erns antibodies against classical swine fever(豚熱ウイルスに対するE2およびErns抗体を検出するための免疫クロマトグラフィーテストストリップの開発)
URL:https://doi.org/10.3389/fmicb.2024.1383976

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豚熱ウイルスに対する抗体を識別する簡易キット(免疫クロマトグラフィーテストストリップ)